2009.10.28

[ Home-Made Story3 ]
母親の料理
at N宅 [東京四ッ谷]


〜編集中〜

大阪でイベントが終了して東京へやって来た。
10年生活した東京だけど、今は家がない。
東京へ来たときは生、シェアしている暗室で仮眠するか、友人宅の泊めてもらうことが多い。今回は3泊ほど、Nの家に泊めてもらうことになった。
Nは彼女と同棲している。同棲しているワンルーム部屋にお邪魔するのは常識的にはまずいのは僕も知っている。でも、Nの家は居心地がよくてつい行ってしまう。「僕にとってふたりともが大学の時からの友人であり、さらに彼女はNと付き合う前から、パリでよく遊んでいた友人でもある…」というのは嘘ではないが、勝手に自分の理由にして、N宅へ上がり込む。
彼らの出会いは昨年のある日、Nが彼女がパリで泣いている夢を見て、数年会っていなかった彼女に突然メールをしたことに始まるらしい。しかもその日なぜか彼女もNの夢をみた…、そうだ。なんども、両者に聞いてみたが、どうやら本当らしい…。僕がパリで暮らしていたとき、久しぶりに彼女に再会した。彼女は大学卒業後デザインを学ぶ為に渡仏してから、パリで5年の月日が流れていた。知らないパリを彼女が案内してくれた。カフェに入りフランス語で注文してもらう。「パリではどう?」って言う僕の質問に彼女は「バイトが忙しくて、生活に流されてる」と少し曇った。パリでの生活に埋もれるように、デザインへの夢を見失いそうになっているように映った。Nはそんな彼女をメールやスカイプで相談にのった、さらに、彼女がパリでひとつ目標にしていた、デザインのコレクション展示発表を果たす為に陰で尽力し、ついに現実になった。そして、パリまで迎えにやって来て、昨年末からこの町で同棲をはじめた。
今彼女は悩んでいたあの頃の少しあった陰のようなモノが吹き飛んだように、大学の頃のパーーッとはれるような雰囲気が帰って来た。デザインの仕事も順調らしい。Nは本当にできる男なのだ。

ところで、そんなふたりの奇跡に比べればどうでもいい話なのだが、この家/三人の間で、些細な奇跡が密かに続いていた。それは、僕がNに家に泊めてほしいと連絡をいれるタイミングと、なぜか食卓に魚料理が並ぶタイミングがピタリと合うのだ。それは彼らがわざわざ用意する訳ではなく。例えば、僕が「明日泊めて」と電話をかけたときき限って、電話口で彼らは魚屋で魚を選んでいたり、「悪いけど今から行ってもいい?」と電話をするとまさに今食卓で魚を食べようとしていた瞬間だったり。もう4回5回は続いているだろうか、最近彼らは恐ろしがっている。「魚とともにアイツがウチへやってくる」と…。
しかし今回は魚はなかった。遂に魚の奇跡は終わったのだと僕は少し残念に思った。Nは「今度はおまえが自分で持ってくる番なんじゃないか。魚の人がやって来た、って感じに毎回ね」と茶化し、僕もそろそろそうしようかと思った。

夜仕事が終わった彼らと待ち合わせて、三人で近所のスーパーに買い出しに行った。このプロジェクトの話は前日に話していた。二人ともお互いに相手の知らない話を料理と共に食卓に用意してほしいと。
二人とも料理も話も内緒にしながら、食材を選びかごに入れる。彼は夕食に春雨のサラダと育てているぬか漬けを出した。それだけでは少し足りないので、僕もシーチキンのパスタを作った。一応、魚料理。彼女は翌朝に朝食を出すlことになった。なぜだか偶然にも、三人の料理の話は、母親にまつわるもの/母親が作ってくれた料理だった。それぞれの家庭のまったく違った料理と話が食卓を飾った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 [ Home-Made Story] 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『上京パスタ』

「これならあんたでも作れるやろ。絶対に失敗せえへんから」と、大学に受かって上京する僕に、母親が教えてくれた。それまで料理なんてしてなかった僕に伝授した簡単料理。パスタの上に大根おろし、その上に缶詰のシーチキンを乗せ、ポン酢をかけるというシンプルなモノ。
夏は冷製パスタにポン酢。冬は温かいダシをかける。すでに10年位はつくっているから、それをベースにたくさんのアレンジが増えている。

:::::レシピ::::::
ー材料ー
大根おろし、シーチキン、大葉(すべて適当)
ー作り方ー
大根をおろす。シーチキンの油を少し切って、梅肉とごま油を混ぜ合わせる。お好みで大葉や瓶詰めナメタケや海苔をトッピング。
(下道)


『暖かい牛乳にコーンを入れたもの』

幼い頃、寒い冬の朝、よく母親が作ってくれた飲み物。
暖かい牛乳に缶詰のコーンを入れたもの。
美味しくて、「もっともっとコーン入れて!」って、良くお願いした。
今考えてみると、たぶんこれは母流のコーンスープだったような気がする。
久しぶりにこれを飲んで、残念ながらこれはコーンスープではない別の飲み物だと思った。
私の中で普通だったが、母は少し変わっていたのかもしれない。
他にも朝食で、生卵が殻のまま出てきて、少し穴を開けて、ストローで吸っていた記憶がある。

:::::レシピ::::::
ー材料ー
牛乳、コーン(缶詰)
ー作り方ー
牛乳を温める。コーンを入れる。
(女性/31歳)





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Nは彼女と同棲をはじめたころにひとつの絵を描いた。それは、何もない草原のような場所にたつシンプルな平屋の家の絵。それ以外は何も描かれていない絵。彼は言った「ここに二人で住みたい家のイメージを描いていくんだ」と。それは描き加えるるための絵。二人の家。
ただ、それから数ヶ月たったが、彼女は面倒くさがって、そのまま放置されている…。

朝起きて彼は言った。
「また、恐ろしいことが起こった…」
「実は、親からメールがあって、今日実家から「魚」が送られてくるらしい…」
3人は腹を抱えて笑い転げた。些細な奇跡は続いていたのだ。

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by homemadestory | 2009-10-30 00:33 | story3
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『Home-Made Story』は、アーティスト下道基行が主催するゲリラ企画。
どこかでパーティー/宴会が行われる際に、参加者の何人かに料理を作り出してもらい、その場でその料理にまつわる物語/エピソードを発表します。
「宴会/パーティー/食卓の風景」「各料理にまつわる個人的な些細な物語」「消えていくだろう家庭の些細なレシピ」を記録する。

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